ーもう揉めない!原状回復のトラブル完全対策ガイドー

原状回復のトラブルはなぜ起こる?
請求範囲の解釈違い、写真・書面の不足、工程の順序ミスが三大要因です。退去時は時間がなく、口頭の思い込みで合意してしまうと後で「言った/言わない」になりがちです。本章では、起点となる原因を把握し、どこで食い違いが生まれるのかを俯瞰します。
範囲の誤解(自然損耗と故意・過失)
・日焼けや家具跡などの自然損耗は貸主負担であることが多い一方、タバコのヤニ汚れやペットの爪痕は借主負担になりやすい——この線引きが争点になります。
・特約が優先されるため、入居時に交わしたメモや申込書の但し書きも再確認が必要です。
証跡不足と見積の不透明さ
・“一式”表記の見積や、作業中の写真がない報告は、後日の検証が困難です。
・入居時・退去時の同一アングル撮影と、数量・面積・単価の突合が不可欠です。
よくあるトラブル事例と対処法
発生頻度が高い論点ほど、事前にテンプレ対応を用意しておくとスムーズです。ここでは典型的な5パターンを、主張の論点と落とし所の作り方まで含めて整理します。
壁紙全面張替えを求められた
・汚れや損傷の“分布”が局所なら部分張替えを交渉。写真にメジャーを写し、範囲を可視化します。
・耐用年数や入居年数の観点から、負担割合の調整余地を提示します。
ハウスクリーニングの範囲・単価でもめる
・「空室清掃か/在宅清掃か」「レンジフード分解の有無」「水回りのカビ取りレベル」など作業定義を文面で確認。
・相見積の項目と単価を横並びで比較し、条件差(夜間・養生・産廃)を補正します。
鍵交換費用・個数の認識ズレ
・入居時に受領した本数と、退去時返却本数のリスト化が基本。スペアキーの所在も明記。
・セキュリティカードやポスト番号のリセット費用は、契約条項と物件ルールで確認します。
造作撤去の範囲が食い違う(テナント)
・原状復旧図面やレイアウト図がなければ、現地で“撤去後の姿”を合意し議事メモ化。
・アンカー穴やダクト跡の補修レベル(見切り材/同等品)を写真付きで定義します。
スケジュール遅延による追加費用
・搬出→清掃→微修繕→立会いの順序を崩すと再作業が発生。工程表と責任者を事前に共有。
・繁忙期は予約競合で人件費が上がるため、早期の相見積と枠取りで回避します。
トラブルを未然に防ぐ実務チェックリスト
予防は最小コストで最大の効果があります。次のチェック項目を、退去逆算のタイムラインに落とし込んで運用しましょう。
合意形成と記録の基本
・入居時/退去時は同一アングル・同一照度で撮影、日付入りメモも写し込む。
・口頭合意はその日のうちにメールで要点を箇条書きし、相手の確認をもらう。
・見積は「作業項目・数量・単価・合計」を必須項目として要求。
工程管理と役割分担
・解約予告と同時に相見積(2〜3社)を開始、立会い候補日を3つ用意。
・共用部の養生・エレベーター予約・駐車可否を管理会社に事前確認。
・当日は担当者を“搬出/清掃/補修/記録”で分け、写真撮影を専任化。
費用でもめたときの交渉術
交渉は“根拠を示す順番”が鍵です。感情論ではなく、契約・特約・写真・数量・単価という客観資料で淡々と整理すると、相手も判断しやすくなります。
主張の立て方(フレーム)
・事実:いつ・どこで・どの範囲が損傷か(写真付き)。
・根拠:契約条項・特約・自然損耗の一般的な取り扱い。
・提案:部分補修や代替材料、スケジュール柔軟化などの落とし所。
書面と数値の使い方
・“一式”は内訳開示を依頼、面積や数量の採寸写真を併置。
・相見積の中位値を基準に、上振れ要因(夜間・産廃)を調整して提示。
商業テナントで起こりやすい落とし穴
住居と比べて、テナントは関係者が多く工種も複雑です。管理規約や消防・衛生の点検、ビルの作業可能日時が絡むため、手戻りが高コスト化しやすい点に注意します。
復旧範囲と品質基準のズレ
・“見た目復旧”か“同等性能復旧”かを明確に。天井材・床材・塗装色のカラーマッチを事前に確認。
・看板撤去後の下地補修(穴埋め/再塗装/シート貼り)を写真で合意。
インフラ停止と安全管理
・電気・水・ガス・通信の停止順が逆だと再訪が必要に。停止の指示書を工程表に紐づけ。
・夜間作業の騒音・振動・粉塵の連絡をテナント会や管理側へ事前通知。
よくある質問(一般的な考え方)
各案件で契約や現況が異なるため最終判断は個別ですが、次の考え方は多くの現場で有効です。疑義があれば、立会い時にその場で写真・メモを取り、後日の証跡として残しましょう。
“使えば汚れる”範囲はどこまで貸主負担?
・日射の色あせ、家具設置による軽微な凹み、通常使用による消耗は貸主負担に分類されることが多いです。
・一方、タバコのヤニや過度の引きずりキズ、無断造作は借主負担の可能性が高くなります。
DIYで直したほうが安い?
・小穴のパテ埋めやカビ取りは効果的ですが、下地を痛めると逆に高額化します。高所・電気・配管・大面積はプロへ。
そのまま使える連絡文面テンプレ
実務では“どう書くか”で相手の反応が変わります。短く要点を押さえた文面を用意し、感情的な表現を避けるのがコツです。以下は必要事項を網羅したサンプルです。
見積の内訳開示を依頼する文面
「原状回復見積について、作業項目・数量・単価の内訳をご提示ください。併せて、写真(補修箇所の範囲が分かるもの)と作業条件(作業時間帯・養生・産廃費)も共有願います。」
部分補修での代替提案の文面
「壁紙の汚れは一部に限定されているため、部分張替えの可否をご検討ください。該当箇所は添付写真のとおりで、面積は約〇㎡です。」
エビデンス管理とツール活用
証跡の散逸はトラブルの燃料です。クラウドフォルダとファイル名ルールで“探せる状態”を維持しましょう。写真は時系列と箇所で並べ、メールはスレッド名を統一します。
フォルダ・ファイル名の例
・/退去_2025-10_〇〇マンション/01_入居時写真/場所_番号.jpg
・/03_見積/2025-10-10_業者A_内訳あり.pdf
・/05_合意記録/2025-10-15_立会い議事メモ.docx
当日の運用ポイント
・撮影は“着手前→途中→完了”の3点セット。メジャー・付箋で範囲を示す。
・その場でメモを清書し、5分でメール送信。“記憶が新しいうち”が鉄則です。
まとめ:トラブルゼロに近づける3ステップ
最後に要点を再掲します。①入居時から写真・メモで証跡を貯める、②退去は逆算スケジュールで並行処理、③見積は内訳と条件を文字でそろえる——この3つを徹底すれば、請求の妥当性を冷静に検証でき、過剰請求ややり直しコストを大幅に減らせます。記事の見出しをそのまま自分用テンプレにして、次の退去で実践してください。
C.i.P株式会社は、東京都練馬区を中心に原状回復やハウスクリーニングを承っております。当社は、スピード感のある原状回復を心掛けております。空室の期間をなるべく短くしたいオーナー様・管理会社様は、ぜひ当社におまかせください。
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