原状回復の作業内容とは？まず全体の流れを理解しよう

原状回復の作業内容をイメージしやすくするためには、退去が決まってから工事完了までの全体の流れを知っておくことが大切です。どのタイミングで誰が何をするのかが分かれば、余計な不安や手戻りも減り、スムーズに部屋を引き渡すことができます。

退去前のヒアリングと現地確認

原状回復の作業は、まず退去予定日が決まった段階でのヒアリングから始まります。管理会社やオーナーから連絡があり、入居年数や部屋の使い方、喫煙の有無、ペットの有無などを確認されることが多いです。そのうえで、立ち会いまたは事前の現地確認が行われ、壁や床、設備の状態をチェックしていきます。ここで原状回復の範囲やおおまかな作業内容が決まるため、気になる点があれば遠慮なく伝えておくことが重要です。
また、この段階で自分で掃除や片付けをどこまで行うかも整理しておくと、後の費用やスケジュールの見通しが立てやすくなります。写真を撮っておいたり、メモを残したりしながら、作業の優先度を一緒に確認していきましょう。

見積もり作成と作業計画の決定

現地確認が終わると、原状回復の作業内容をもとに見積もりが作成されます。壁紙の張り替えが必要な範囲、床の補修やクリーニングの程度、設備交換の有無などが細かく整理され、工事にかかる金額と日数が提示されます。見積もりを受け取ったら、金額だけでなく「どの作業にいくらかかるのか」をしっかり確認することが大切です。
不明点があればその場で質問し、必要に応じて作業内容の調整や優先順位の見直しを行います。こうして入居者・管理会社・施工業者の三者で方向性を合わせておくことで、後から「聞いていなかった」というトラブルを防ぎやすくなります。

原状回復の作業内容は、このように事前の確認と計画づくりから始まります。次の段階では、具体的にどのようなクリーニングや補修が行われるのかを見ていきましょう。

部屋全体のクリーニング作業内容

原状回復の中でも、もっとも多くの物件で実施されるのがハウスクリーニングです。普段から掃除をしていても、長年の生活でたまった汚れや見えない部分のホコリは意外と多く、プロの手でしっかりリセットして次の入居者を迎えられる状態に整えていきます。

キッチン・水回りのクリーニング

キッチンや浴室、洗面所、トイレなどの水回りは、原状回復の作業内容の中でも特に重要な部分です。油汚れや水垢、カビ、石けんカスなどは時間が経つほど落ちにくくなるため、専用洗剤や道具を使って集中的にクリーニングしていきます。
具体的には、レンジフード内部の油の除去、ガスコンロやIHコンロの焦げ付き落とし、シンクの水垢・サビ取り、浴室の床や壁のカビ取り、鏡のウロコ落としなどが挙げられます。トイレでは、便器内部の尿石や黒ずみ、タンク周りや床の汚れも丁寧に落としていきます。こうした作業によって、見た目だけでなくニオイも大きく改善され、清潔感のある空間に戻すことができます。

居室・窓・ベランダのクリーニング

居室部分では、床の掃除機がけや拭き掃除、巾木のホコリ取り、照明器具やエアコン表面の清掃などが行われます。窓ガラスやサッシのレールも汚れが溜まりやすい場所なので、砂やホコリをかき出してからきれいに拭き上げていきます。カーテンレールや室内の収納内部など、普段の掃除では見落としがちな部分もチェックされるのが特徴です。
ベランダやバルコニーがある場合は、床にたまった砂や落ち葉の清掃、排水口の詰まりの確認なども原状回復の作業内容に含まれることが多いです。こうしたクリーニング作業を丁寧に行うことで、部屋全体が明るく見え、次の入居者にも良い印象を与えることができます。

クリーニングだけでも多くの工程がありますが、原状回復ではさらに内装の補修や交換が行われることも少なくありません。続いては、代表的な内装補修の作業内容について見ていきましょう。

内装補修の代表的な作業内容

原状回復では、汚れを落とすだけでなく、傷んだ部分を補修したり交換したりする作業も重要です。とくに入居期間が長い場合や、子どもやペットと一緒に暮らしていた場合は、壁や床、建具などにダメージが残っていることも多く、適切な補修が求められます。

クロス張り替えと壁の補修

原状回復の作業内容の中でよく実施されるのが、壁紙（クロス）の張り替えです。タバコのヤニやキッチン周りの油汚れ、家具の擦れ跡、日焼けによる変色などが目立つ場合、部分張り替えまたは全面張り替えが行われます。
穴や大きなキズがある場合は、まず下地をパテで平らに整え、その上から新しいクロスを貼っていきます。小さな画びょうの穴程度であれば、張り替えをせずに補修のみで対応できるケースもありますが、ひと目で分かるダメージが広範囲にあるときは張り替えが必要になることが多いです。

床材・建具・設備の補修

床材については、フローリングのキズ補修やワックスがけ、クッションフロアの張り替えなどが行われます。深いえぐれや大きなへこみがある場合は、部分補修だけでなく、板そのものの交換が必要になることもあります。畳のある部屋では、表替えや新調が原状回復の作業内容に含まれるケースもあります。
建具や設備では、室内ドアの立て付け調整やハンドル交換、網戸の張り替え、スイッチプレートやコンセントカバーの交換などが代表的です。見た目の印象を左右する細かな部分ですが、きちんと整えることで全体の仕上がりがぐっと良くなります。

このように、内装補修の作業内容は物件の状態によって大きく変わります。最後に、実際の原状回復工事当日の流れと、完了後に確認しておきたいポイントを見ていきましょう。

原状回復作業当日の流れと完了チェック

原状回復の作業内容をしっかり理解するためには、工事当日の進め方や完了後のチェックポイントも知っておくと安心です。全体の流れが分かれば、鍵の受け渡しや立ち会いのタイミングなど、自分が何をすればよいかがはっきりします。

作業当日の進め方と注意点

原状回復工事当日は、まず作業スタッフが共用部や室内を養生し、搬入・搬出の際に傷がつかないように準備を行います。その後、クリーニング班と補修班など、役割分担をしながら順番に作業を進めていきます。工事内容によっては、数時間で終わる場合もあれば、数日に分けて行われることもあります。
入居者側は、貴重品や個人情報が分かる書類などを事前に片付けておくと安心です。また、作業中にどうしても気になる部分が出てきた場合は、その場で担当者に声をかけて確認してもらうと、仕上がりのミスマッチを防ぐことができます。

完了後の確認とトラブルを防ぐポイント

工事が完了したら、管理会社やオーナー、入居者が立ち会って仕上がりを確認することが多いです。このときは、壁や床の状態、設備の動作、クリーニングの仕上がりなどを一通りチェックしていきます。気になる点があれば、その場で伝えて手直ししてもらうことが大切です。
また、原状回復の作業内容と費用の内訳が記載された書類を受け取り、敷金からどのように精算されるのかも確認しておきましょう。口頭だけの説明で終わらせず、書面で残しておくことで、後日の行き違いを防ぎやすくなります。

原状回復の作業内容は、クリーニングから内装補修、設備の調整、そして完了チェックまで、多くの工程が組み合わさって成り立っています。全体の流れと代表的な作業を知っておけば、見積もりの内容も理解しやすくなり、納得感のある原状回復につながります。これから退去を控えている方は、今回ご紹介したポイントを参考に、自分の物件ではどのような作業が行われるのかをイメージしながら準備を進めてみてください。